老化や生活習慣病の原因に!?——活性酸素(フリーラジカル)と抗酸化とビタミン・ミネラル

活性酸素の生成と消去

多くの疾患にフリーラジカルが関与していることがわかってきて、同時に抗酸化作用を持つビタミンやミネラルが注目を集めている。

抗酸化作用を持つビタミンはビタミンEとビタミンCが代表的であるが、ビタミンAの前駆物質であるβ−カロチンなどカロチン類やビタミンPと言われるフラボノイド類、ビタミン様物質のユビキノンなどがある。

下図は体内のフリーラジカルの生成とそれを消去する防御機構の概念図である。

体内では、ミトコンドリアでの電子伝達系からの電子の漏出、好中球とマクロファージ活性化によるNADPHオキシダーゼの活性化、虚血−再灌流時のキサンチンオキシダーゼの活性化、カテコールアミンの自動酸化などによって、スーパーオキシドが産生される。 スーパーオキシドはSOD酵素により、或いは非酵素反応により過酸化水素になる。このSOD酵素には亜鉛・銅を含むSODとマンガンを含むSODがある。

SOD酵素と対で働くグルタチオンペルオキシダーゼ酵素またはカタラーゼ酵素によって、生成した過酸化水素は水と普通の酸素(三重項酸素)に分解されラジカルは消去される。

前者の酵素は活性部にセレンを含む酵素で、後者は鉄酵素である。

過酸化水素が消去されないと、ミエロペルオキシダーゼ存在下で次亜塩素酸になり、また、過酸化水素は2価鉄の存在下ではヒドロキシラジカルが生成する。

この鉄の由来は血管内皮細胞に存在する貯蔵鉄と、白血球の特殊顆粒に存在するラクトフェリンが考えられている。

SODで消去できなかったスーパーオキシドが3価鉄を2価鉄に還元させる物質として働き、その2価鉄が過酸化水素と反応してヒドロキシラジカルを生成するとされ、幾つかの病気では金属イオンの押さえ込みが不十分で遊離するとされる。

ヒドロキシラジカルは最も破壊的なラジカルであって、発生部に接する生体膜を構成する多価不飽和脂肪酸と反応して脂質の過酸化を促し膜脂質から電子を奪うと脂質過酸化の連鎖反応が始まる、酵素などのタンパク質を変性させ、核酸の分解を引き起こし、細胞傷害をもたらす。これが種々の病気を引き起こし、老化や発ガンにも関係する。

X線照射、紫外線によっても水分子からヒドロキシルラジカルが生成する。

脂質過酸化の連鎖反応は、膜に存在するビタミンEが電子を与えて連鎖反応を止め、生成するヒドロペルオキシドはグルタチオンペルオキシダーゼにより還元され、エネルギー源として消費され得る、一方ラジカル化したビタミンEはビタミンCから電子を貰い、もとに戻り、ビタミンCラジカルはナイアシン酵素であるNADHによりもとのビタミンCに戻される。

このように抗酸化系では、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、亜鉛、銅、マンガン、セレンが協同して働いているので、総合的に供給されないと効果が発揮できないと考えられる。

体内抗酸化物質がなぜ消耗するのか

活性酸素の生成と消去

活性酸素の生成と消去

分子で示す活性酸素の生成と変換

分子で示す活性酸素の生成と変換

ビタミンとフリーラジカル

米国の栄養学者への老化予防に関するアンケートを見ると、約30名の学者の90%が、総てのビタミンとミネラルを含んだマルチビタミン剤を処方している。さらに、

処方している。

そして、低脂肪で高繊維、適当な糖質と適当なタンパク質を含む食事、野菜と果物の十分な摂取を勧めている。

フリーラジカル及び活性酸素

主な抗酸化物質と消去対象: 酵素

抗酸化物質働き
スーパーオキシドジスムターゼスーパーオキシドの分解
グルタチオンペルオキシダーゼ過酸化水素、脂質過酸化物の分解
カタラーゼ過酸化水素の分解
ペルオキシダーゼ過酸化水素の分解

主な抗酸化物質と消去対象: 非酵素(細胞内)

抗酸化物質働き
ビタミンE脂溶性ラジカル、脂質過酸化物の補足
ビタミンCスーパーオキシド、脂質過酸化物の分解、E再生
βカロチン一重項酸素の消去
グルタチオンスーパーオキシド、脂質過酸化物の分解
フラボノイド
CoQ脂溶性ラジカル、脂質過酸化物の補足
メタロチオネインスーパーオキシド、過酸化水素の分解

主な抗酸化物質と消去対象: 非酵素(細胞外)

抗酸化物質働き
尿酸スーパーオキシドの分解
セルロプラスミン銅イオンの補足
トランスフェリン、フェリチン鉄イオンの補足
アルブミン次亜塩素酸の分解
ピルビン酸過酸化水素の分解